2022年 8月14日
![小抽斗4.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/e7a54b564bc75f4d16c8b6164dc78965758d75a3-thumb-500xauto-3123.jpg)
胡桃の抽斗箱
★サイズ w390 d300 h500
★ 材料 本体:胡桃材 抽斗:国産桐
つまみ:ウォールナット・ローズウッド
★塗装 オイル+蜜蠟ワックス
![抽斗箱1.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/4fc936874b838f383582250db8a636952241162b-thumb-500xauto-3125.jpg)
S様が工房へお越しいただいたのは
2021年の秋のことでした。
お亡くなりになった母上様を偲ぶ想いを形にして
新盆にご親族の方皆様(14名)にお渡しする
抽斗箱のご依頼でした。
今回製作させていただいたのは、14個
一番お若い抽斗箱の所有者はなんと
3か月のひ孫になるということでした。
数はたくさんありますがその一つ一つが
それぞれのご親族のもとに旅立つわけですから
大切に心を込めて製作させていただきました。
今回は、いつでもこの抽斗箱がどのように作られたのか
ご覧いただけるように製作工程をご紹介いたします!
![材料1.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/83412759af96808b2f8fa180809e763ce817e7cb-thumb-500x667-3127.jpg)
今回の抽斗箱製作にあたり原木丸太を製材しました。
こちらは板が乾燥が終わり工房に入荷した時のものです。
ここから製作が始まります。
①木取り 材料を抽斗箱の大きさにカットしてゆきます。
![木取2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/63a6173a8aab083ff87487e60727bf26a47abdfa-thumb-500xauto-3129.jpg)
②板はぎ カットした板を必要な幅の板にするために
板をつないで接着します。
この時、一枚板のような美しい木目になるように
気を使いながら板剥ぎをします。
![板はぎ.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/c66be449a73425a0874ed25b002aa9b80021d5d5-thumb-500xauto-3131.jpg)
③加工 美しく仕上がった板を抽斗箱に必要な幅と長さに加工します。
![幅決め.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/284e097d9f2cebfdd710c0757a0da5973e79f6d6-thumb-500xauto-3133.jpg)
④墨付け 抽斗箱の本体を組むために組み手のほぞの位置を
本体に毛引きでしるしをつけます。線が見えますね!
![墨付け.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/151101a4edfca0940d5b80e1f59661245c846cd0-thumb-500xauto-3135.jpg)
⑤ほぞ加工【蟻加工】墨付けした位置をのみを使って
ひとつひとつ手加工で掘ります。
![留め加工2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/884ed244f8d439c733c2f6bdd969eb2d59770ef7-thumb-500x667-3137.jpg)
⑥留め加工 蟻加工した二つの板を
斜め45度に接着するために機械でカットをします。
![留め加工.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/3b01a0254b877fa403a6045c58cfbbb35c964357-thumb-500xauto-3139.jpg)
こちらが留め加工したもの
![組み立て1.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/40aa187be07e481d633a9648a59996232b8baa01-thumb-500xauto-3141.jpg)
⑦組み立て 留形隠し蟻組接ぎ
無垢板同士を直角に接合するときに使う組み手の一つです。
![組み立て3.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/5b13c4d82145bdd4ed4456878de4a5dbd7485f1b-thumb-500xauto-3145.jpg)
天板と側板を組み立てると下の写真の角の部分です。
組んでしまうと中の組み手は見えませんが
強度は抜群です。
そして天板と側板の美しい木目がつながって見えますね!
![完成2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/79f9a271efaf114a5eb57c15a3602766f5ac4674-thumb-500xauto-3179.jpg)
⑧抽斗の製作 こちらは高級な国産桐
主に東北地方のものです。
抽斗に必要な大きさにカットした板の状態です。
桐材は、調湿効果、防虫効果に優れています。
![抽斗組み立て1.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/f749f03f05b7458526660af5535d26fda9735517-thumb-500xauto-3147.jpg)
⑨抽斗の組み立て 加工した桐材を使い木組みとボンドで
抽斗に組み立て真田紐をぐるぐる巻き
固定+圧着しながら乾かします。
![抽斗組み立て2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/d07a1f60bc17fec31f98b412a1ec04e8713cf944-thumb-500x667-3149.jpg)
⑩抽斗の仕込み
抽斗ができあがるといよいよ本体に合わせて
一つ一つカンナで削り本体にピタッと収まるように
調整をします。
木は気温湿度によって年間を通して伸縮するので
職人の技術と経験が必要とされる重要な仕事です。
![仕込み.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/a847585bc506fbd190f404375bbcfc2f0b04a099-thumb-500xauto-3151.jpg)
⑪塗装 今回は胡桃の優しい木目と木肌を活かすために
天然オイルと蜜蝋ワックスにて丁寧に仕上げました。
![塗装2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/50e4dd4cbc8f17e36bb3f3c16e1cd27645872514-thumb-500xauto-3153.jpg)
⑫乾燥 塗装した部材をそれぞれ1~2週間乾燥させます。
![乾燥.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/d1e0ae411c7a285d46e8ef58835ad147eea7f620-thumb-500x623-3155.jpg)
⑬完成 本体は胡桃の木目を活かし抽斗の前板は
すっきりした柾目を使用しました
そうすることでつまみがより引き立ち美しく見えます。
![抽斗箱2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/513795cc514c4ed0511b2b285479dd0bcd8a591f-thumb-autox618-3157.jpg)
つまみの種類は四種類
すべてオリジナルの手づくりしたものです。
ウォールナットとローズウッドを使用しました。
それぞれお好きなデザインをお選びいただきました。
![つまみ1.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/dd3a7f640de6104dc44ac2731bbcf397bf8ecdad-thumb-500xauto-3169.jpg)
![つまみ2.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/5c17912b389625e0d927fc1b85540888b58144e1-thumb-500xauto-3171.jpg)
![つまみ3.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/c3fb36f1137bcb670ea9b9c51e00ed15e2ee2d05-thumb-500xauto-3173.jpg)
![小抽斗4.jpg](https://www.ohtani-kagu.com/assets_c/2022/08/39d3320d1127ea0b7de71994ae2ab9002f58c3f7-thumb-500xauto-3177.jpg)
こうして出来上がった抽斗箱は
それぞれのご親族のもとに旅立ってゆきました。
この抽斗箱は伝統的な技法を使い製作された
指物家具です。
木組みで製作したこの抽斗箱は永年にわたり
お使いいただけるお品物でございます。
どうぞ末永くご愛用いただければ幸いです。